特別コラム「昔の予報官」

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大雪 2月3日ころまで続く
2012.2.1
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
気象庁の発表によれば、北日本から北陸にかけての大雪は、2月3日ごろまで続くとみられる。

1月31日正午現在の積雪量は、青森市酸ヶ湯で400cm(平年の1.4倍)、新潟県津南町で329cm(平年の1.7倍)、同県小千谷市の市街地で200cm以上となっている。

この大雪は、新潟や長野の一部で、平成18年の豪雪(死者153人)に匹敵する積雪になる可能性がある。
 
 この猛烈な寒波の原因は、南米ペルー沖の海面水温が平年より低い「ラニーニャ現象」によるものとみられる。この現象によって「亜熱帯ジェット」と呼ばれる上空の西風が南に蛇行し、大陸からの寒気を引きおろした。加えて、上空の「寒帯前線ジェット」も南に蛇行し、オホーツク海方面に「ブロッキング高気圧」が形成され、寒気が日本列島に滞留することになったといえる。

 このラニーニャ現象は、4月ころには終息に向かうとみられ、その後は平年並みの陽気に戻るものと予想される。
日の出、日の入り
2012.1.18
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
今年の元旦は広く雲に覆われて、関東での6時50分の初日の出は見ることが出来なかった。
「日の出」は、昇ってくる太陽の上端が地平線に接する瞬間をいい、「日の入り」は、沈んでいく太陽の上端が地平線に接する瞬間をいう。   
日の出から日の入りまでの時間が昼の長さで、12月22日の冬至を境に現在は少しづつ長くなっている。

日の出時刻は、海抜0メートルを基準にして、緯度と経度をもとに計算される。つまり、海抜0メートルのところに山も建物もない平面が広がっていると考え、太陽の頭がその面に接する時刻をもって日の出の時刻としている。
現実には、山があれば日の出はおそくなり、山から見下ろすときは早くなる。

また、日の出前の太陽は未だ地平線の下にあるが、太陽光線が地球大気で屈折するため、地平線に達する前から太陽の頭が見えることになる。
皆既月食、この土曜日(12月10日)
2011.12.5
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
12月10日夜半前から11日未明にかけて、月食が全国で眺められる。明るい星空のちょうど真ん中辺りで、月面が赤銅色に輝き素晴らしい光景になると言う。

 月食は、満月が地球の陰に隠れて起きる現象で、10日21時45分から欠け始め、11日1時18分まで続く。
 そのうち皆既の時間は、10日23時6分から52分間で、通常よりはやや短い。

 よく見ると、濃い本影の周りに淡い半影が取り囲んでいる。半影から本影に変わり、さらに半影になって満月に戻ってくるまで6時間かかる。
 今回の月食は、二度と体験できないほどの貴重なイベントと言われる。次の皆既月食は3年後の2014年までみられないので、この度は雲がさえぎらないことを祈る。
ラニーニャの状態に近づいている
2011.11.17
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
気象庁(11月10日)によれば、9月はペルー沖の海面水温が平年より低く、西大平洋の熱帯海域では対流活動が活発になっている。また、下層では大平洋の西部から中部にかけて、東風が平年より強い状態が続いている。
これらは、ラニーニャ現象の状態に近づきつつあることを示しており、秋から冬にかけてラニーニャ現象が発生する可能性があるという。

2年前の2010年1月には、24年ぶりに全国的な厳冬、豪雪となったが、その原因もラニーニャ現象にあった。

ラニーニャ現象とは、南米ペルー沖の海面水温が平年より低く、反対に西太平洋やインド洋の熱帯海域で高くなる現象である。
これにより、東アジア上空で高気圧が発達して風の流れ(偏西風)が北西風となり、北極からの寒気を吹き下ろすことになる。

今年の冬もラニーニャ現象が予想されているが、気象庁の予想から見て、2年前のような厳冬にはならないと思われる。
オゾンホール
2011.10.7
森川 達夫(株式会社ウエザーミロ代表・気象予報士)
北極圏でこの春、観測史上最大のオゾン層破壊が起きていたことが、9か国の解析で明らかになった。
 破壊された量は、北極圏のオゾン層全体の約40%、18〜20キロ上空では最大80%に及んだという。
 大規模なオゾン層破壊はグリーンランドからシベリア北部の3000キロで、日本列島がはいる大きさである。
 オゾン層の濃度は季節によって変化し、北極圏では春に最も薄くなる。スカンジナ半島やロシア北部では、3月から4月にかけて深刻な低オゾン状態が続いたとみられる。
 オゾン層は通常20〜25キロ付近にあいり、太陽からの有害な紫外線をブロックしている。この層が破壊されることによって、皮膚ガンや白内緒など人体への影響が懸念される。
 今年の冬は、北極上空にできる低気圧の渦(極渦)が、過去30年で最大となると予想され、オゾン層の破壊がさらに進むともいわれる。これまでは南極のオゾンホール
が注目されていたが、今後は北極にも注意を払わねばならない。
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