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2007年10月1日更新
片山由紀子(ウェザーマップ・気象予報士)

【2007年の夏(6〜8月)の天候】

北日本東日本西日本南西諸島
平均気温(平年差)0.7℃0.4℃0.5℃0.6℃
降水量(平年比)79%97%105%124%
日照時間(平年比)113%104%96%96%


【東京の夏(6〜8月)の記録】 【8月の平均気温高い方順位表(東京)】

東京の記録 平年差/平年比
平均気温 25.5℃ 0.7℃
降水量 342.5mm 71%
日照時間 495.7時間 111%
猛暑日
(max≧35℃)
7日
真夏日
(max≧30℃)
43日
熱帯夜
(min≧25℃)
25日
8月の平均気温
1995 29.4℃
今年 29.0℃
1994 28.9℃
1978 28.9℃
1990 28.6℃


夏の平均気温は全体的に見ると北日本から南西諸島まで平年を0.5℃前後上回り、暑い夏となったが、7月の低温、8月の記録的猛暑など気温の変化の大きい夏だった。
6月は移動性高気圧に覆われる日が多く、関東甲信の梅雨入りは観測史上最も遅い6月22日など、九州南部を除いて平年よりかなり遅い梅雨入りとなった。7月は梅雨前線の活動に偏りがあり、九州で大雨となった程度だった。 また、太平洋高気圧の北への張りだしが弱く、梅雨明けは沖縄と九州南部で平年並みだったほかは関東甲信、北陸、東北で平年よりかなり遅い梅雨明けとなった。 7月中旬から下旬にかけてオホーツク海高気圧が強まったため、関東では気温の低い日が多くなった。8月は7月の天候不順が一転、全国的に猛暑となった。8月16日には日本歴代の最高気温を74年ぶりに更新した。

東京の6月から8月までの平均気温をグラフにしてみると、6月、8月の高温、7月の低温がよく分かる。 7月の熱帯夜はわずか2日しかなく、8月にかけて天候不順が続くとも思われたが、結果的には8月に観測史上2番目の高温となり、夏の平均気温は平年を0.7℃上回った。


■日本歴代の最高気温を74年ぶりに更新
8月15日から17日にかけて最高気温が40℃を超えるところが相次いだ。16日には岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で40.9℃を記録。日本歴代の最高気温を74年ぶりに更新した。
8月16日9時の上空5000m付近の天気図をみると、太平洋高気圧が日本列島を広く覆っている。太平洋高気圧の中心は西日本にあり、中心部の等高度線は5940mと背の高い優勢な高気圧であったことが分かる。 また、東日本では下層で北西の風が吹いていたことから、山越えのフェーン現象が重なった可能性がある。

2007年8月時分地点名最高気温
15日14時40分群馬・館林40.2℃
16日14時42分埼玉・熊谷40.9℃
 14時20分岐阜・多治見40.9℃
 13時50分埼玉・越谷40.4℃
 15時00分群馬・館林40.3℃
 14時40分岐阜・美濃40.0℃
17日14時20分岐阜・多治見40.8℃


8月16日9時の上空5000m付近の天気図

■九州の大雨と四国の少雨
奄美が梅雨明けした6月28日ごろから、梅雨前線の活動が活発となり、九州では断続的に激しい雨が降った。 7月3日には九州南部で豪雨となり、JR指宿枕崎線の普通列車が崩れた土砂に乗り上げ、一両目が脱線する事故があった。 7月6日から7日にかけては熊本県を中心に総雨量500ミリを超える大雨となり、熊本県美里町ではがけ崩れなどによって道路が寸断され、約130世帯が孤立した。 また、熊本県内約1万人に避難勧告が出された。

九州の大雨(7月5日18時〜7日18時)
熊本・俵山 521ミリ
熊本・甲佐 414ミリ
大分・椿ヶ鼻 379ミリ
長崎・五家原岳 364ミリ
長崎・雲仙岳 345ミリ


一方、7月3日には西日本に少雨情報が発表され、西日本全体でみると梅雨前線の活動は弱かった。 四国では春からの少雨がなかなか解消せず、高知県の早明浦ダムでは7月13日に貯水率44%まで低下、夏の渇水が懸念される事態となった。
そこへ、台風4号が14日、7月としては観測史上最も強い勢力で鹿児島県大隅半島に上陸。 九州から関東にかけての太平洋側で激しい雨となり、四国では600ミリを越える記録的な大雨となった。 早明浦ダムの貯水率は一気に回復し、7月15日には貯水率100%となった。

■ラニーニャ現象
気象庁は6月11日、ラニーニャ現象が発生しているとみられると発表。 前回のラニーニャ現象は2005年秋〜2006年春に発生、「平成18年豪雪」の記憶がまだ新しいうえのラニーニャ現象発生の発表に、この夏は猛暑となる可能性が高いとの予測が先行した。
7月は低温となったものの、夏全体では平年を大幅に上回る暑い夏となった。特に、8月の500hPa高度偏差図をみると、ラニーニャ現象時に現れる高度の正負偏差パターン(PJパターン)を示していた。 また、太平洋熱帯海域の対流活動はフィリピンの東で活発、太平洋熱帯東部で不活発のラニーニャ現象時に見られる特徴となった。

『PJパターン:Pacific Japan Pattern』
北米に向かって高度の正負の偏差パターンが連なるテレコネクションパターンのこと。
ラニーニャ現象時に見られる(Nitta,1987)
Nitta,Ts.,1987:Convective activities in the tropical western Pacific and their impact on the Northern Hemisphere summer circulation.J.Meteor.Soc.Japan,65,373-390


2007年8月500hPa高度偏差図
青色の領域は高度が平年より低い場所、赤色の領域は高度が平年より高い場所を示す。



【2007年の夏(6〜8月)の特徴】
気象庁報道発表資料

夏の平均気温は全国で高温となったものの、月毎の変動が大きかった。6 月は、中旬まで移動性高気圧に覆われて晴れる日が多く、各地で梅雨入りが遅れるなど、南西諸島など一部の地方を除き気温が高く、降水量が少なく、また日照時間が多くなった。7 月に入ると一転して本州付近に梅雨前線が停滞したため、曇りや雨の日が続き、台風第4 号の影響も大きかった東・西日本では降水量が多くなった。大陸からの寒気が日本海に流れ込み、北・東・西日本では気温が低くなったが、オホーツク海高気圧の出現はほとんどなく顕著な低温とはならなかった。8月は、初め北日本と西日本で一時ぐずついたものの、その後は優勢な太平洋高気圧が本州付近を覆った。このため、各地で猛暑日になるなど晴れて暑い日が続き、北・東・西日本では一部の地方を除き、気温が高く、日照時間が多くなり、太平洋側では降水量が少なくなった。また、16 日には熊谷(埼玉県)と多治見(岐阜県)で、これまでの国内の最高気温の記録を更新した。

南西諸島では、6 月に活発な梅雨前線の影響で降水量が多かった。7 月から8 月上旬までは太平洋高気圧に覆われて、晴れて暑い日が続いたが、台風や湿った気流の影響で7 月中旬と8 月中旬には大雨となった。


平均気温

夏の平均気温は、全国的に高かった。全国的に平年を0.5℃前後上回ったところが多く、西表島(沖縄県)では夏の平均気温の最高値を更新した。


降水量

夏の降水量は、北日本で少なく、東日本と西日本日本海側では平年並だった。一方、西日本太平洋側と南西諸島で多かった。北海道の一部では平年の60%未満となった一方、南西諸島では平年の170%以上となったところがあった。


日照時間

夏の日照時間は、北日本と東日本太平洋側で多く、西日本太平洋側では平年並だった。東日本から西日本にかけての日本海側と南西諸島では少なかった。



記録を更新した地点
平均気温の高い記録

平均気温 平年値
西表島 28.6 27.8


6月の猛暑日の多い記録

日数 平年値
大分 1 0.0
延岡 1 0.1
7月の猛暑日の多い記録

日数 平年値
鹿児島 10 0.8
宿毛 4 0.5
与那国島 1 0.0

8月の猛暑日の多い記録

日数 平年値
苫小牧 1 0.0
小名浜 1 0.1
伏木 9 2.1
富山 14 2.1
前橋 13 3.1
熊谷 19 5.5
千葉 5 0.5
都城 6 0.6
夏の猛暑日の多い記録

日数 平年値
苫小牧 1 0.0
小名浜 1 0.1
富山 14 3.1
鹿児島 13 1.8
与那国島 1 0.0

猛暑日とは日最高気温35℃以上の日です。



黄色:平年より高い(多い) 青:平年より低い(少ない)



平均気温の平年差の経過(5日移動平均)

日最高気温が観測史上1位の値を更新した地点
観測所名 観測史上1位の値 過去最高値
波照間 34.8 (7/12) 34.8
与那国島 35.0 (7/21) 34.4
久米島 34.7 (7/22) 34.3
肝付前田 36.1 (7/27) 35.8
溝辺 35.1 (7/27) 34.3
牧之原 34.4 (7/27) 34.3
神門 37.5 (7/28) 37.1
本山 38.1 (7/28) 37.8
志布志 36.4 (7/28) 36.0
宇目 36.9 (7/28) 36.8
金武 34.4 (8/ 3) 34.3
白川 36.5 (8/11) 35.0
御殿場 34.2 (8/11) 34.1
前原 37.6 (8/11) 37.0
船引 34.3 (8/11) 33.8
葛巻 34.7 (8/12) 34.5
軽米 35.0 (8/12) 34.7
川井 37.5 (8/13) 37.2
荒屋 34.8 (8/13) 34.5
月形 34.3 (8/13) 33.8
新和 36.0 (8/13) 34.8
新篠津 34.7 (8/13) 33.9
美唄 34.7 (8/13) 34.4
穂別 34.3 (8/13) 33.7
占冠 33.8 (8/13) 33.6
長沼 34.6 (8/13) 34.5
遠野 36.5 (8/14) 35.9
江刺 36.9 (8/14) 36.9
若柳 36.5 (8/14) 36.1
大迫 36.3 (8/14) 35.5
紫波 36.3 (8/14) 35.3
藪川 31.5 (8/14) 30.9
奥中山 33.5 (8/14) 33.4
岩手松尾 35.1 (8/14) 35.0
向町 36.0 (8/14) 35.7
尾花沢 35.7 (8/14) 35.4
八幡平 32.8 (8/14) 32.1
38.1 (8/14) 38.1
倉吉 35.4 (8/14) 35.4
青谷 37.2 (8/14) 36.9
観測所名 観測史上1位の値 過去最高値
伊達 32.2 (8/14) 32.2
駒場 36.2 (8/14) 35.5
上士幌 34.2 (8/14) 34.2
黒松内 34.0 (8/14) 33.3
支笏湖畔 31.9 (8/14) 31.5
下妻 37.7 (8/15) 37.0
笠間 38.2 (8/15) 38.2
大子 38.1 (8/15) 38.1
久慈 36.0 (8/15) 35.1
大船渡 37.0 (8/15) 36.9
丸森 36.1 (8/15) 35.6
江ノ島 33.4 (8/15) 33.1
石巻 36.8 (8/15) 35.7
仙台 37.2 (8/15) 36.8
米山 35.4 (8/15) 35.2
白石 35.9 (8/15) 35.9
伊勢崎 39.8 (8/15) 39.1
桐生 39.0 (8/15) 39.0
寄居 39.5 (8/15) 38.5
小田野沢 32.5 (8/15) 32.5
塩谷 36.6 (8/15) 36.1
大田原 36.0 (8/15) 35.7
烏山 36.3 (8/15) 35.7
黒磯 35.3 (8/15) 34.5
那須 31.2 (8/15) 31.1
川内 35.5 (8/15) 34.7
白河 35.2 (8/15) 35.2
大岸 32.4 (8/15) 31.3
中杵臼 32.9 (8/15) 32.6
更別 36.0 (8/15) 35.2
納沙布 31.8 (8/15) 31.2
長万部 32.0 (8/15) 31.8
川湯 33.7 (8/15) 33.6
弟子屈 34.2 (8/15) 33.3
陸別 35.1 (8/15) 35.1
大津 34.3 (8/15) 34.0
苫小牧 35.5 (8/15) 33.3
三石 31.4 (8/15) 31.2
白糠 35.5 (8/15) 33.3
森野 32.2 (8/15) 31.8
観測所名 観測史上1位の値 過去最高値
白老 33.1 (8/15) 32.3
川汲 32.0 (8/15) 30.9
中標津 35.2 (8/15) 34.3
標津 33.7 (8/15) 33.5
厚真 34.1 (8/15) 32.0
稲武 34.9 (8/16) 34.1
土浦 38.5 (8/16) 38.1
龍ヶ崎 38.5 (8/16) 37.7
宮地 38.9 (8/16) 38.1
金山 39.7 (8/16) 38.6
黒川 37.4 (8/16) 35.2
岐阜 39.8 (8/16) 39.7
八幡 39.8 (8/16) 39.6
恵那 38.2 (8/16) 37.0
多治見 40.9 (8/16) 39.9
中津川 39.0 (8/16) 38.6
美濃 40.0 (8/16) 39.6
揖斐川 39.6 (8/16) 39.1
京田辺 39.0 (8/16) 38.6
館林 40.3 (8/16) 39.9
越谷 40.4 (8/16) 40.2
久喜 38.9 (8/16) 38.2
熊谷 40.9 (8/16) 39.9
南信濃 38.8 (8/16) 37.9
南木曽 35.6 (8/16) 35.3
木曽福島 35.3 (8/16) 34.8
佐野 38.9 (8/16) 38.3
鹿沼 36.4 (8/16) 35.9
上遠野 36.7 (8/16) 36.6
広野 37.0 (8/16) 36.8
阿蘇乙姫 33.6 (8/17) 33.6
府中 38.5 (8/17) 38.0
浪合 33.5 (8/17) 32.5
高梁 39.0 (8/18) 38.9
友ヶ島 36.0 (8/18) 35.1
瀬戸 33.1 (8/24) 33.1
鰐浦 33.9 (8/25) 33.9














【大気の流れの特徴】 500hPa天気図
モンゴル付近に中心を持つ正偏差が日本付近に広がり、南の亜熱帯高気圧の正偏差域とつながった。負偏差域は日本の東海上にあり、日本付近への寒気の南下は一時的だった。 亜熱帯高気圧の本州付近への張り出しは6〜7月に弱く、8月にかなり強かった。これは、フィリピン付近の対流活動が6〜7月に弱く、8月に強かったことに対応している。 結果として本州付近は、6月は移動性高気圧の、7月は梅雨前線の、8月は太平洋高気圧の影響を受ける日が多かった。 8月中旬には、南シナ海北部で対流活動が非常に活発になったのに加え、偏西風が日本付近で高気圧を強めるように蛇行したため、本州付近で太平洋高気圧の勢力が強まり、著しい高温となった。




2007年6〜8 月の500hPa高度と偏差
等値線間隔は高度(実線):60m 偏差(破線):30m
赤:正偏差域 青:負偏差域

資料提供:気象庁

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