【本文より引用】
「太陽の表面を光球とよび,この層の厚さは400kmほどである. この光球は地球大気の10万分の1という希薄な高温ガスであるのに宇宙空間に放出してしまわないのは, 質量の大きい太陽の引力に引きとめられているからである. 光球表面からガス粒子が逃げ出すのに必要な速度は秒速650kmであるが, 光球のガス粒子は平均秒速10kmで飛び回っているにすぎない. 」 (P11〜「2.太陽の外層」より)
「「常識外れのエネルギー」太陽は, 毎秒3.8x1033エルグ(9000億キロカロリーの1000億倍)ものエネルギーを宇宙空間に放出している. これは電力に換算すれば3860億kwの1兆倍で, 地球上に人類が出現してから今日までに消費した全エネルギーよりも多い. しかもそれが, たった1秒間の消費量なのであるから想像を絶する. (中略)
長年研究を続けているスミソニアン協会の発表では, 太陽定数は1平方cmあたり毎分1.95カロリーとなっている. これをわかりやすくいえば地球は太陽から毎秒, 石炭200万トンを燃やすのと同じ熱量をうけていることになる. これは琵琶湖の水を1分間で沸騰させる熱量である. 」 (P14〜「3.太陽はなぜ輝く」より)
「「星は集団で生まれる」 オリオン座付近の星を調べると, あるきまりをもった運動を見付けることができる. それらの星の動く方向を逆にたどると800万年くらいでオリオン星雲に集まってくる. もともとオリオン星雲は10°k(−263℃)のガスであったのが熱せられて急激に膨張したものである. その速度は秒速数十kmなので現在の直径3光年になるまでには10万年ほどしかたっていない. つまりオリオン星雲はたった10万年前に生まれた極めて若い星雲で, 現在も星が生まれつつあるのである.
すばる(プレアデス星団)は条件のよい夜なら肉眼でも潤んでいるように見える. これは, すばるの青白い星たちがガス星雲に包まれているからである. (野尻抱影は, 湯殿の硝子戸越しに見た蛍の光のようだと表現した). このような散開星団は数多くあるが, いずれも数千年から長くて数億年の若い星たちである. 散開星団は古くなるとバラバラになってしまう. これに反して球状星団は結びつきが強いので数十億年と古い.
(中略)太陽もその昔, 多くの仲間たちと一緒に生まれたに違いない. そのときの兄弟たちは, 今どのあたりを旅しているのであろうか. 」(P22〜「1.星の誕生」より)
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