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2007年11月29日更新





『月刊 天文ガイド』2007年12月号

発行所・誠文堂新光社
2007年11月5日発売
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火星は現在赤く大きく夜空に輝いており、約1ヶ月後の12月19日、地球に最も接近します。
火星の直径は6794km、地球のおよそ半分強の大きさで、土壌中の酸化鉄のために赤さび色をしています。一日の自転速度は24時間40分で、自転軸が傾いているため四季の変化もあります。

火星探査機マリナーやバイキングなどによって明らかになった火星の姿は実に驚異に満ちたものでした。
目を見張る巨大な火山群、中でもオリンポス火山は火星を代表する最高峰で、太陽系の中で最大の火山です。北緯18度にあって標高は驚くなかれ2万1287m、山麓部分の直径が600km、東京〜大阪間の距離に匹敵します。

さらに興味深いのは巨大な裂け目「マリネリス峡谷」です。その長さはなんと5000km、青森ー下関の5倍の長さです。幅が200km、深さは5000mに達します。昔に運河と見られていたもののひとつがこの峡谷にぴったり一致するそうです。

そして、この巨大峡谷の西の方には3つの火山が、700kmのほぼ等間隔で、北から南に一直線に並んでおり、いかにも意味ありげです。火山三兄弟と名付けられ、標高は1万4千mから1万8千mの堂々たる火山です。

火星の地上の気圧は6hPa、気温は赤道の昼間でも0℃を超えることはほとんどなく、大気中の水分は僅かで雨は降りません。かなり強い風が絶えず吹いています。時折ダストストーム(砂嵐)が発生して火星をすっぽり包むことも天文マニアに知られているところです。

何もかもが巨大で神秘に満ちている火星! 
晴れた夜はこの赤い星を見上げて、天空のロマンに思いをはせてはいかがでしょうか。

(株式会社ウェザーミロ 気象予報士・森川達夫)

参考文献:『火星の驚異』小森長生(平凡社・2001年11月初版)
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