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2008年4月4日更新
片山由紀子(ウェザーマップ・気象予報士)

【2007/2008年の冬(12〜2月)の天候】

北日本 東日本 西日本 南西諸島
平均気温(平年差) -0.1℃ 0.1℃ 0.3℃ 0.6℃
降水量(平年比) 81% 101% 119% 97%
日照時間(平年比) 103% 104% 105% 114%
降雪量(平年比) 94% 99% 98% 82%


冬の平均気温は沖縄・奄美で平年より高くなったほかは、全国的に平年並みだった。しかし、気温は冬を通して平年並みに推移したのではなく、12月〜1月上旬は平年を上回る暖かい日が多かったが、1月中旬以降は寒さが本格化した。特に、2月の平均気温は西日本で平年を1.0℃下回るなど、冬の前半と後半で寒暖の差が大きいのが特徴だった

冬の降水量は西日本で平年より多くなった。これは1月に日本の南海上が前線帯となり、頻繁に低気圧が通過したことによるものである。これに対応して、日照時間は全国的に平年並みかやや少なくなった。特に、1月中旬〜2月上旬にかけては西日本太平洋側と東日本太平洋側で日照時間が少なくなった。

冬の降雪量は平年を上回った地域はなかった。北日本では平年をかなり下回る降雪量となった。記録的な暖冬となった昨冬と比べると冬型の気圧配置は多かったが、強い冬型の気圧配置は一時的で、降雪量の増加は鈍かった。

【東京の冬の記録】

東京の記録 平年差/平年比
平均気温 6.8℃ +0.1℃
降水量 146.5mm 98%
日照時間 548.4時間 107%
冬日
(最低気温が0℃未満)
1日
雪日数 9日
*1月16日に初雪を観測

この冬の東京の気温変化を見てみると、初冬(12月)は寒暖の差が大きかったものの、平年を上回る暖かさとなった。年末の寒波でいったん気温が下がったが、1月上旬は春を思わせる陽気。この冬も暖冬傾向かと思った矢先に気温が急降下し、1月後半は連日東京の最高気温が10℃を下回り、寒中らしい寒さが到来した。
2月上旬は寒さに加えて、太平洋側でたびたび降雪に見舞われた。南海上が前線帯となったことに加え下層の寒気が強く、2月3日節分には東京都心で2年ぶりに積雪3cmを記録した。そして、翌週の土曜日にも東京都心で積雪が1cmに達し、週末の出足に大きな影響があった。 2月14日バレンタインには今季最大級の寒波が到来し、日本海側の広い範囲で大雪、太平洋側の一部でも降雪となった。東京でも季節が戻ったような厳しい寒さとなった。
冬を通しての平均気温は平年並みとなったが、12月の高温、2月の低温と気温の変動が著しかった。東京の2月の月平均気温が平年を0.8℃下回ったのは1996年以来12年ぶりのこと



■上空の寒気の状況
この冬の500hPa高度偏差は東日本から日本の東海上にかけて負偏差となった。一方、西日本から東シナ海、バイカル湖付近は正偏差となり、北・東日本に寒気が流れ込みやすい状況だった。シベリア高気圧は1月中旬をピークに平年より強かったが、一方でアリューシャン低気圧は平年よりやや弱く、日本付近で冬型の気圧配置が強まらなかった要因の一つと考えられる。

輪島の500hPa気温・月平年値は12月が−26.9℃(平年差−0.7℃)、1月が−26.4℃(平年差+2.4℃)、2月が−29.8℃(平年差−1.3℃)であった。1月の高温、2月の低温が顕著に表れた結果となった。2月の月平均値が平年を1℃以上下回ったのは2000年以来8年ぶりのこと。2月は寒気の南下が強まったが、1月の高温が影響して、結果的に冬の降雪量は北陸で平年の半分以下とかなり少なくなった。
■インフルエンザ最も早い流行
国立感染症研究所のまとめによると、11月19日〜25日の全国患者報告数は定点あたり1.53人となり、流行の目安である1.0人を超えた。これは過去20年で最も早く、Aソ連型が6年ぶりに流行したことが影響した模様
■年末寒波
年の瀬の慌ただしさに水を差すように全国的に大荒れの天気となった。帰省ラッシュがピークを迎えた29日は二つ玉低気圧が本州で急速に発達、30日から大晦日にかけて太平洋側を含めて全国各地で雪となった。31日は北アルプス槍ヶ岳(岐阜県側)の槍平小屋(標高2000m)でなだれが発生、男性4人が死亡した。


2007年12月31日大晦日 地上天気図
■東京で初霜・初氷
1月2日、静まりかえった東京都心にこの冬初の霜と氷が観測された。初霜は平年より19日、初氷は平年より22日ともに遅い。
■夏日連続6日
南国の石垣島には春を飛び越えて夏がやってきた!最高気温は1月7日〜12日まで25℃以上の夏日が続き、1月としては54年ぶりの記録となった
■不意打ちの初雪
東京は1月16日夜遅く、初雪となった。昨年より59日早く、平年より14日遅い。誰もが想定外の初雪にビックリ!東京の初雪パターンとしては5年ぶりに「シアーライン型」。この初雪をきっかけに、東京では寒さが本格化した。
■江丹別(北海道旭川市)で氷点下34.6℃(19日)
北海道の内陸は北欧に引けをとらないほど寒さが厳しい地域。札幌管区気象台によると、氷点下30℃台はほぼ毎年あるが、氷点下35℃以下となると珍しく、最近では2001年1月15日に占冠で氷点下36.6℃の記録がある。
■2年ぶりに御神渡り
長野・諏訪湖では1月25日以降、連日最低気温が10℃以下となり、1月30日には2年ぶりに御神渡りが出現した。2月2日に行われた「拝観式」では御神渡りの状況から“今年の天候はやや不順ながら農作物の作柄は満点。世相は不安定なれど明るい兆しあり”と占われた。
■節分に大雪
2月3日、東京都心は未明から雪が降り出し、午前中は本降りの雪となった。東京・大手町の積雪は3cmに達し、2年ぶりの雪化粧。各地の積雪は宇都宮で8cm、横浜で7cm、熊谷で6cm、前橋で5cmなど。翌日は東京都心で氷点下0.1℃まで下がり、路面凍結による事故や転倒が相次いだ。

雪がピークとなった3日9時の気象レーダー(気象庁)
■週末の大雪
2月9日(土)、東京は3日(日)に続いての週末の大雪。夕方から降り出したみぞれは次第に雪に変わり、21時には積雪1cmに達した。土曜日の夜たったことで、交通機関に乱れはなかったが、二週続けての週末の積雪にデパートや行楽地の出足も鈍かったよう。

2008年2月9日 地上天気図
■バレンタイン寒波
2月14日は今シーズン最も強い冬型の気圧配置となり、全国的に冬の嵐となった。函館や青森市内では平均で10メートルを超える風と雪が舞う大荒れの天気。一方、関東はすっきりと晴れ渡り、東京の最小湿度は12%まで低下。2月としては5番目のカラカラ天気だった。

2008年2月14日 地上天気図

2008年2月14日 雲画像(赤外)


■ハクション!は遅く?
20日、東京都は都内4ヶ所(青梅、八王子、多摩、府中)でスギ花粉が飛散したと発表した。統計がある1985年以降では1994年2月25日に次ぐ、観測史上2番目に遅い飛散開始となった
遅い方順位 東京都スギ花粉飛散開始日
1位 1994 2月25日
2位 今年 2月20日
2005 2月20日
4位 2004 2月19日
5位 2001 2月16日
1998 2月16日
1991 2月16日
■一瞬の「春一番」
23日、秋田沖で低気圧が発達し、全国的に大荒れの天気となった。東京都心では昼すぎ、強い南風が吹き、“気象庁は関東で春一番が吹いた”と発表した。昨年より9日遅い。ただ、南風は一瞬で、すぐに北西の風に変わり、東京では14時47分、最大瞬間風速27.9メートルを観測した。15時頃から、強風による列車の運休が相次ぎ、東北新幹線は一時、全線で運転を見合わせた。

2008年2月23日 地上天気図

2008年2月23日 雲画像(赤外)
■富山で高波被害「寄り回り波」
2月24日、三陸沖で低気圧が猛烈に発達、北・東日本で暴風が吹き荒れた。富山県入善町などでは高波により約200棟以上が浸水する被害があった。富山地方気象台によると、高波は富山湾特有の地形によって発生する「寄り回り波」だった可能性が高い。「寄り回り波」とは、北海道西海上で発生した高波がうねりとなって富山湾内に入り込み、岸に近づくにつれ極端に高くなる現象のこと。



【2007/2008年の冬(12〜2月)の特徴】
気象庁報道発表資料

12月から1月上旬までは、冬型の気圧配置となる日は少なく、2日程度の短い周期で低気圧や気圧の谷が北日本を通過したほか、数日の周期で低気圧が本州付近を通過した。このため、北・東日本日本海側では曇りや雨または雪の日が多く、北・東日本太平洋側と西日本でも天気は数日の周期で変わり、平年と比べて晴れの日が少なかった。全国的に気温の変動が大きく、寒気の南下が弱かった東・西日本では気温の高い日が多く、沖縄・奄美では晴れて気温のかなり高い日が多かった。

1月中旬から2月前半にかけては、優勢なシベリア高気圧が北日本方面に張り出し、北日本を中心に弱い冬型の気圧配置となる日が多かった。一方、本州南海上は高気圧の南縁で前線帯となりやすく、低気圧が短い周期で本州南岸を通過した。日本海側では曇りや雪または雨の日が多かったものの、降水量は少なく、降雪量も少なかった。また、東・西日本太平洋側や沖縄・奄美では、平年と比べて曇りや雨または雪の日が多かった。2月後半以降は、冬型の気圧配置が続き、強い寒気の南下とともに冬型の気圧配置が強まる時期があった。このため、日本海側では曇りや雪又は雨の日が多く、太平洋側では晴れの日が多かった。1月中旬以降の気温は、北・東・西日本では平年並か平年を下回る日が続いた。また、沖縄・奄美では気温の変動が大きく、2月中旬にはかなり低くなった。

降雪量は、日本海側で全般に少なく、北・東日本日本海側ではかなり少なかった。なお、山沿いでは平年程度の降雪があった。


平均気温

冬の平均気温は、沖縄・奄美で高かったほかは、全国的に平年並だった。


降水量

冬の降水量は、北日本日本海側でかなり少なく、北日本太平洋側と東日本日本海側では少なかった。北見枝幸(北海道)では冬の降水量の最小値を更新した<./b>。一方、西日本では多く、東日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。


日照時間

冬の日照時間は、北海道太平洋側を除いた北日本、東日本日本海側、西日本太平洋側、および沖縄・奄美では少なかった。一方、北海道太平洋側では多く、帯広(北海道)では冬の日照時間の最大値を更新した。東日本太平洋側と西日本日本海側では平年並だった。


積雪・降雪

冬の降雪の深さ合計は、北日本、東日本日本海側でかなり少なく、西日本日本海側では少なかった。ただし、山沿いでは平年程度の降雪があった。一方、東日本から西日本にかけての太平洋側では平年並だった。冬の最深積雪は、太平洋側の一部で多かったほかは、ほとんどの地点で平年並か少なかった。



記録を更新した地点
3か月間降水量の少ない記録

降水量 平年値
北見枝幸 141.5mm 263.3mm
3か月間日照時間の多い記録

日照時間 平年値
帯広 626.6h 523.7h




黄色:平年より高い(多い) 青:平年より低い(少ない)



平均気温の平年差の経過(5日移動平均)

      主な地点における冬(2007年12〜2008年2月)の降雪の深さの合計と最深積雪

降雪の深さ合計 最深積雪
地点 降雪の深さ 平年値 最深積雪 起日 平年値
旭川 441 cm 496 cm 82 cm 2/15 92 cm
釧路 18 cm 121 cm 12 cm 1/24 36 cm
札幌 392 cm 474 cm 106 cm 2/28 100 cm
青森 386 cm 626 cm 82 cm 2/18 113 cm
秋田 292 cm 342 cm 25 cm 1/27 41 cm
山形 272 cm 403 cm 40 cm 2/14 50 cm
盛岡 146 cm 274 cm 38 cm 1/24 35 cm
仙台 16 cm 74 cm 8 cm 2/10 17 cm
福島 82 cm 195 cm 10 cm 1/25 25 cm

降雪の深さ合計 最深積雪
地点 降雪の深さ 平年値 最深積雪 起日 平年値
新潟 76 cm 228 cm 10 cm 1/27 38 cm
長野 178 cm 243 cm 26 cm 1/1 29 cm
富山 174 cm 384 cm 36 cm 2/17 69 cm
金沢 127 cm 319 cm 22 cm 2/18 51 cm
福井 151 cm 314 cm 35 cm 2/17 60 cm
岐阜 14 cm 49 cm 7 cm 2/9 15 cm
鳥取 107 cm 240 cm 41 cm 2/17 48 cm
松江 56 cm 102 cm 20 cm 2/17 23 cm
最新積雪の起日には、2日以上同じ記録が出た場合には早い方の起日を記しています。


【大気の流れの特徴】 500hPa天気図
北極海からオホーツク海やカナダ西部、グリーンランドに負偏差域が伸び、寒気はこの方面を中心に南下した。ユーラシア大陸では、ヨーロッパから中央シベリア、バイカル湖付近にかけて正偏差域が、中東から中国西部にかけて負偏差域が広がり、平年より強かったヨーロッパやシベリアの地上高気圧に対応している。太平洋から北米にかけては、ラニーニャ現象時の特徴と一致して、太平洋中部、東部に正偏差域、カナダ西部に負偏差域が広がり、アリューシャン低気圧が平年よりやや弱かったことに対応している。日本付近では、中国東部から東シナ海にかけてが正偏差、日本の東海上が負偏差となった。また、本州南岸は東シナ海の正偏差と中国東北区の正偏差の間に位置し、前線帯になることが多かった。




2008年12〜2008年2月の500hPa高度と偏差
等値線間隔は高度(実線):60m 偏差(破線):30m
赤:正偏差域 青:負偏差域

資料提供:気象庁

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