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2008年10月8日更新
【2008年の梅雨入り〜梅雨明けと梅雨の特徴】
[梅雨入り]  梅雨入りは沖縄・奄美と東北で平年より10日以上遅くなった。一方、九州北部から関東甲信にかけては平年より7日〜11日早くなった。なお、九州北部、中国、近畿、東海、関東甲信、東北では当初の発表より大幅な見直しが行われた。中国では6月11日から5月28日に変更になるなど、当初の発表より3日から2週間程度修正された。

[梅雨明け]  梅雨明けは奄美、北陸、東北で平年より4日から13日遅くなった。そのほかの地方は平年より早く、特に九州北部、四国、中国では平年より10日以上早くなった。なお、四国、中国、近畿、東海、北陸、東北では当初の発表より大幅な見直しが行われ、北陸と東北南部では当初発表より18日遅い、7月19日から8月6日に修正された。

[梅雨の時期の降水量]  梅雨期間の降水量は平年を下回ったところが多くなった。特に、北陸と東北南部は平年の半分程度、中国と沖縄では平年の6割から7割にとどまった。降水量が平年を上回ったのは九州だけだった。


* 梅雨は季節現象であり、梅雨入り・梅雨明けには平均的に5日程度の「移り変わり」の期間があります。気象庁では「○日ごろ」と表記しています。

* 梅雨期間の降水量は、入りの時期における遷移期間のおおむね中日から明けの時期における遷移期間のおおむね中日の前日までの降水量の合計値。



2008年の梅雨入り・梅雨明け・降水量
地方 梅雨入り 平年差 梅雨明け 平年差 降水量 (同期間の平年値)
沖縄 5/22 14日遅 6/17 6日早 那覇 183.5mm (234.7mm)
奄美 5/22 12日遅 7/2 4日遅 名瀬 564.0mm (511.3mm)
九州南部 5/28 1日早 7/6 7日早 鹿児島 784.0mm (540.4mm)
九州北部 5/28 8日早 7/6 12日早 福岡 449.0mm (338.8mm)
四国 5/28 7日早 7/6 11日早 高松 186.0mm (201.7mm)
中国 5/28 9日早 7/6 14日早 広島 220.5mm (327.9mm)
近畿 5/28 9日早 7/12 7日早 大阪 278.0mm (296.6mm)
東海 5/28 11日早 7/12 8日早 名古屋 296.5mm (312.7mm)
関東甲信 5/29 10日早 7/19 1日早 東京 307.0mm (288.2mm)
北陸 6/19 9日遅 8/6 15日遅 新潟 153.5mm (276.4mm)
東北南部 6/22 12日遅 8/6 14日遅 仙台 131.5mm (243.8mm)
東北北部 6/23 9日遅 8/5 9日遅 青森 177.0mm (141.6mm)


【梅雨期間の大雨被害】
●6月10日〜12日 大分県九重町で土砂崩れ
2008年6月11日9時 地上天気図と雲画像
6月10日、梅雨前線は西から活発となり、鹿児島・指宿で18時までの1時間に53.5ミリの雨を観測するなど、夕方から九州南部には発達した対流雲がかかり始めた。11日、梅雨前線の活動はさらに活発となり、九州中部では激しい雨となった。ライン状のエコーが停滞した熊本・天草では11時30分までの1時間に気象レーダーによる観測で80ミリの猛烈な雨が降った。九州の大雨は12日朝までに峠を越えたが、総雨量は熊本・俵山で359ミリに達した。

◎大分県九重町で土砂崩れ
11日23時ごろ、大分県九重町で裏山が幅約50メートルに渡って崩れ落ち、住宅一棟が倒壊し、一人が死亡した。九重町では2005年7月10日も、梅雨前線による大雨で大規模な土砂災害が発生している。

●6月19日 佐賀、福岡で浸水被害
2008年6月19日9時 地上天気図と雲画像
6月19日、梅雨前線は九州北部に停滞した。非常に湿った空気が流れ込んだ九州北部にはテーパーリングクラウドが発生し、8時には福岡県と熊本県に記録的短時間大雨情報が発表された。最大1時間降水量は佐賀・嬉野で81.5ミリ、佐賀・白石で79.0ミリ、大分・椿ケ鼻で72.0ミリなど、局地的に猛烈な雨が降った。

◎佐賀、福岡で浸水被害
佐賀市内では6時10分までの1時間に69.0ミリの雨が降り、道路の冠水が100か所、床上浸 水が8棟に上った。また、有田町では裏の斜面が崩れ、住宅に土砂が流れ込む被害があった。一方、福岡県内では久留米市などで、道路の冠水が53か所、がけ崩れが7か所、床下浸水が15棟に上った。

●6月21日〜22日 九州で大雨被害相次ぐ
2008年6月21日9時 地上天気図と雲画像
6月21日から22日にかけて、梅雨前線は西日本に停滞し、活発な状態が続いた。黄海には寒気を伴った気圧の谷があり、九州には次々と発達した雲がかかった。熊本・山江では22日2時40分までの1時間に78.0ミリ、熊本・湯前横谷で22日4時までの1時間に69.5ミリの非常に激しい雨が降った。総雨量は熊本県、大分県、熊本県で400ミリを超えた。

順位 地点名 期間合計降水量(ミリ)
1位 熊本・甲佐 437.5ミリ
2位 大分・椿ケ鼻 420.5ミリ
3位 熊本・湯前横谷 404.5ミリ
4位 熊本・間の谷山 387.0ミリ
5位 熊本・山江 381.5ミリ

◎九州で大雨被害相次ぐ
福岡県添田町では民家の裏山が幅10メートル、高さ25メートルに渡って崩れ落ち、5世帯18人が避難するなど、がけ崩れが40か所以上に上った。また、熊本県太良木町では民家の裏山が崩れ、女性一人が死亡した。人吉市では約2500人が避難した。 21日、JR鹿児島線は河川が増水したため、熊本−宇土間で約6時間に渡って運転を見合わせた。

【沖縄 短い梅雨】
2008年5月は太平洋高気圧が弱かったため、沖縄の梅雨入りは平年より14日遅い5月22日となった。5月下旬の梅雨入りは1971年以来37年ぶり、観測史上3番目に遅いものである。

沖縄の梅雨入り遅い方順位
順位 梅雨入り
1位 1963年6月4日
2位 1976年5月26日
3位 2008年5月22日

一方、梅雨明けは平年より6日早い6月17日となった。そのため、沖縄の梅雨期間は26日で、1951年以降では3番目に短くなった。
沖縄の梅雨期間短い方順位
順位 梅雨の期間 年月日
1位 11日 1963年6月4日〜6月14日
2位 21日 1971年5月20日〜6月9日
3位 26日 2008年5月22日〜6月16日

沖縄では梅雨入り後、梅雨前線の活動が不活発で目立った大雨はなかった。那覇の梅雨期間の降水量(5月、6月)は271.0ミリと平年の61%にとどまり、2000年以来8年ぶりに少なくなった。

過去のデータからみると、沖縄の梅雨入りが一週間以上遅くなった年は、那覇の梅雨の降水量が平均で358.7ミリ(平年比81%)、梅雨の期間は平均で32.6日(平年より約13日少ない)となり、梅雨が短く、雨量も少なくなる傾向となった。


【関東甲信 早い梅雨入り】
関東甲信地方の梅雨入りは当初の発表より4日早まり、5月29日に確定した。5月に梅雨入りしたのは1993年以来15年ぶりのこと。また、5月の梅雨入りは1951年以降、今年で4度目。

関東甲信 梅雨入り早い方順位(降水量は東京)
順位
梅雨入り 降水量
1位 1963 5/6 393.0
2位 2008 5/29 307.0
3位 1993 5/30
4位 1991 5/31 227.5
5位 1990 6/1 114.0

1953 6/1 367.7

(注)1993年は梅雨明けが特定されなかったため、梅雨の降水量はなし


→ 詳細は気象ダイアリーを参照



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