2019年1月21日更新
【2018年のさくらの開花・満開日】
 2018年のさくらは、全国的に平年より早い開花となりました。平年より10日以上早かった地域もあります。
 2018年の冬は、寒気が日本付近に流れ込みやすく、寒い日が続きました。このため、休眠打破は順調に進み、花芽は成長しやすい状態だったと考えられます。この影響は暖かい地域ほど強くなります。
 一方、暖かさで花芽の成長が進む1月下旬以降、2月にかけて非常に厳しい寒さとなったため、花芽の成長は2月末時点ではやや遅れ気味だったとみられますが、3月に入ってかなり暖かい日が多くなったため、2月の遅れを一気に取り戻す形で、平年より早い開花となりました。
→前年の開花・満開日は 「さくら2017」


さくらの開花・満開日の観測はソメイヨシノを観測対象とし、各気象台が定めた標本木で行っている。 ソメイヨシノが分布していない北海道地方では一部を除きエゾヤマザクラを対象としている。 「開花」とは花が数輪以上開いた状態のことで、「満開」とは約80%の花が開花した状態のことである。


北海道
官署開花日平年差満開日平年差
札幌4/26-74/29-8
稚内*5/12-25/15-2
旭川*4/30-55/01-6
網走*5/02-95/06-8
釧路*5/12-55/14-6
帯広*4/27-74/28-9
室蘭4/29-75/01-10
函館4/25-54/28-6
東北
官署開花日平年差満開日平年差
青森4/19-54/22-7
秋田4/17-14/20-2
盛岡4/17-44/20-5
仙台3/30-124/04-12
山形4/04-114/11-8
福島3/29-114/02-11
関東・甲信
官署開花日平年差満開日平年差
水戸3/25-83/28-11
宇都宮3/26-63/29-10
前橋3/25-63/28-9
熊谷3/22-73/26-10
東京3/17-93/24-10
銚子3/20-113/28-11
長野4/02-114/06-11
横浜3/19-73/27-7
甲府3/23-43/29-5
北陸・東海
官署開花日平年差満開日平年差
静岡3/18-73/27-7
名古屋3/19-73/27-7
岐阜3/19-73/26-9
3/26-43/29-7
新潟4/03-64/05-9
富山3/27-93/30-11
金沢3/29-64/03-7
福井3/29-54/02-7
近畿
官署開花日平年差満開日平年差
彦根3/27-64/01-8
京都3/22-63/28-8
大阪3/20-83/26-10
神戸3/23-53/29-7
奈良3/24-53/29-7
和歌山3/20-63/27-8
中国・四国
官署開花日平年差満開日平年差
岡山3/25-43/28-9
広島3/22-53/28-7
松江3/26-53/29-10
鳥取3/24-73/28-10
高松3/24-43/29-7
松山3/19-63/27-8
徳島3/23-53/28-8
高知3/15-73/19-11
下関3/23-43/29-7
九州・沖縄
官署開花日平年差満開日平年差
福岡3/19-43/27-5
大分3/23-13/30-4
長崎3/17-73/26-8
佐賀3/20-43/27-7
熊本3/17-63/26-6
宮崎3/16-83/26-7
鹿児島3/17-93/29-6
名瀬+1/2232/056
那覇+1/10-81/30-5
南大東島+1/07-131/29-4
宮古島+1/2372/08-1
石垣島+1/1932/072
2018年のサクラの開花・満開日
・官署名に付した「*」はエゾヤマザクラ、「+」はヒカンザクラ、印のないものはソメイヨシノを観測対象としている。
・平年差に付した「-」は平年より早い、「+」は平年より遅いことを示す。
さくらの開花・満開日の平年差階級区分
さくらの開花を平年値(1981年〜2010年の30年間の累年平均値)と比べる場合、「平年並」は平年値との差が2日以内、「早い」とは平年値より3日以上早く、「かなり早い」は7日以上早いことを示す。
階級平年との比較
かなり早い7日以上早い
早い平年値より3日以上早い
平年並み平年値との差が2日以内
遅い平年値より3日以上遅い
かなり遅い7日以上遅い

さくらは夏頃に翌春咲く花の元となる花芽を形成し、秋に休眠(成長が止まる)に入る。休眠に入った花芽は、冬の低温に一定期間さらされると休眠から目覚め(休眠打破)、気温の上昇と共に成長を始め開花する。
休眠打破が不十分な場合は、開花が遅れたり不揃いになったりすることがある。


【さくら2018】 〜 日本歴代最早 3月19日、高知で満開 〜

片山由紀子(ウェザーマップ・気象予報士)  資料提供:気象庁

◆開花

3月15日、全国(沖縄・奄美を除く)のトップを切って、高知でさくらが開花した。平年より7日早い。さくら前線が高知からスタートしたのは2014年以来、4年ぶり。この日は全国的に晴天となり、沖縄から東北北部まで気温が20℃を超えた。

高知から2日後の17日は東京で平年より9日早く開花した。これは2013年と2002年に並ぶ、観測史上3番目に早い記録である。


2018年冬の気温は全国的に平年を下回り、寒冬となった。とくに西日本は1985/86年以来、32年ぶりに寒い冬だった。強い寒気の影響を受けたため、日本海側(北日本を除く)の降雪量は平年を上回り、西日本ではかなり多くなった。一方、3月は一転して、気温の高い日が多くなったため、西日本では平年と比べ1週間から10日程度早くなった。3月20日に開花した大阪は観測史上最も早かった。

さくらが早咲きとなった要因として、考えられることは2つ。ひとつは冬の寒さが厳しく、休眠打破がしっかり行われたこと。二つ目は3月になって気温が高くなったことで、花芽の成長が早まったことが挙げられる。さくらの開花には好都合な気象状況だったといえる。


4月になっても、さくら前線の北上スピードは衰えず、4月2日は長野で平年より11日早く開花した。これは観測史上最も早い。

そして、さくら前線は4月25日、北海道に上陸した。松前町の職員が松前城前にある「桜前線本道上陸標準木(ソメイヨシノ)」の開花を確認した。松前町では昭和57年から独自に開花発表をしていて、今年は平年より5日早かった。

4月26日には札幌で開花し、北海道では大型連休前に花見シーズンを迎えた。さくら前線は58日をかけて日本列島を北上し、5月12日に稚内と釧路に到達した。


2018年冬(12月~2月)と春(3月~5月)の平均気温を平年と比較
2018年【冬】 平均気温
平均気温平年差(℃)
北日本 -0.4 平年より低い
東日本 -0.7 平年より低い
西日本 -1.2 平年より低い

2018年【春】 平均気温と日照時間
平均気温平年差(℃) 日照時間の平年比(%)
北日本 +1.4 平年よりかなり高い 101 平年並み
東日本 +2.0 平年よりかなり高い 113 平年よりかなり多い
西日本 +1.4 平年よりかなり高い 114 平年よりかなり多い

◆満開

3月19日、全国で最も早く高知で満開となった。これは1953年以降、日本歴代1位の記録である。連日の暖かさで、高知では開花から満開まで4日という、これまでで最も短くなった。

一方で、東京ではさくら開花後、雪が降った。さくら開花後の雪は2015年以来、3年ぶりのこと。強い寒の戻りがあったが、23日には満開となる。平年よりも10日早く、観測史上3番目に早かった。


2018年春は記録的な暖春となった。東日本は平年を2.0℃上回り、1946年以降で最も高くなった。また、西日本は1946年以降で2番目に、北日本は4番目に高かった。そして、全国的に高気圧に覆われる日が多く、日照時間も各地で平年を大幅に上回り、東日本は1946年以降で、3番目に多くなった。


好天と高温の影響で、前橋、水戸、松江、福島などでは観測史上最も早く満開となった。お花見シーズンの到来は北海道でも早く、大型連休前半となった。帯広は4月28日に、旭川は5月1日に、開花からわずか1日で満開発表があった。


◆さくら満開 全国で一番早いのは?

今シーズン、全国(沖縄・奄美を除く)で最も早くさくらが満開となったのは3月19日、高知である。これは記録が残る1953年以降で最も早い。

温暖化の影響で、お花見シーズンは年々、早まっている。満開が早かった年を調べてみた。

日本歴代の記録としては2002年と2010年の3月21日がある。2002年春は記録的に春が暖かく、東日本では平年を1.2℃上回った。下記の表は現在もさくらの観測が行われている地点から求めたもの。一方、現在は観測されていないが、種子島には1973年3月20日に満開となった記録が残っている。


【満開】日本歴代早い方順位<1953年以降>
月日 観測地点名
3月19日 2018 高知
3月21日 2002 東京
2010 高知
3月22日 2013 福岡 熊本 宮崎 高知 横浜 東京
3月23日 1990 高知 横浜
2009 福岡 宮崎
※さくらの満開が全国で最も早くなった場所(沖縄・奄美を除く)、現在さくらの観測が行われている地点を調べたもの

◆うめとさくらが同時に開花

西・東日本ではうめが開花した後に、さくらが開花するイメージがあるが、北日本ではちょっと様子が違う。今シーズンは青森と札幌で、うめとさくらが同じ日に開花した。うめ前線とさくら前線はどのようにして日本列島を北上するのだろうか?

以下の表は全国主要都市のうめとさくらの開花日をみたもの。


2018年 うめとさくらの開花日とその差
観測地点名 うめ さくら
札幌 4月26日 4月26日 0
青森 4月19日 4月19日 0
仙台 3月16日 3月30日 14
新潟 3月25日 4月3日 9
東京 1月19日 3月17日 57
名古屋 2月8日 3月19日 39
大阪 2月26日 3月20日 22
松江 1月4日 3月26日 81
広島 2月25日 3月22日 25
高知 2月1日 3月15日 42
福岡 2月11日 3月19日 36
鹿児島 1月23日 3月17日 53

2018年のうめ前線は年明けすぐの1月4日、那覇・松山・松江からスタートした。しばらくはうめ前線が先行していたが、3月になるとさくら前線がスタートし、その差を急速に縮めた。東北地方を北上する頃には、ほとんど差がなくなった。