2013年1月16日更新
【2012年のさくらの開花・満開日】
 桜の開花前線は、3月21日に高知をスタートしてからおよそ2カ月、
ついに5月20日に釧路でゴールしました。
 2012年の桜は、北海道を除いて平年より遅めの開花となった所が多くなりました。
 これは、2月の気温が平年より低く、
3月の中旬下旬も度々寒気の影響を受けたためで、
平年並み所が多かった前年よりも遅い傾向でした。
→前年の開花・満開日は 「さくら2011」


さくらの開花・満開日の観測はソメイヨシノを観測対象とし、各気象台が定めた標本木で行っている。 ソメイヨシノが分布していない北海道地方では一部を除きエゾヤマザクラを対象としている。 「開花」とは花が数輪以上開いた状態のことで、「満開」とは約80%の花が開花した状態のことである。


北海道
官署開花日平年差満開日平年差
札幌5/1-25/2-5
稚内*5/1405/18+1
旭川*5/2-35/2-5
網走*5/3-85/5-9
釧路*5/1705/200
帯広*5/5+15/70
室蘭5/9+35/14+3
函館5/2+25/5+1
東北
官署開花日平年差満開日平年差
青森4/29+55/1+2
秋田4/24+64/26+4
盛岡4/24+34/28+3
仙台4/18+74/23+7
山形4/23+84/26+7
福島4/16+74/20+7
関東・甲信
官署開花日平年差満開日平年差
水戸4/6+44/12+4
宇都宮4/8+74/12+4
前橋4/8+84/12+6
熊谷4/4+64/10+5
東京3/31+54/6+3
銚子4/2+24/11+3
横浜4/2+74/9+6
長野4/18+54/21+4
甲府4/1+54/7+4
北陸・東海
官署開花日平年差満開日平年差
静岡3/24-14/1-2
名古屋3/30+44/6+3
岐阜3/30+44/6+2
4/4+54/8+3
新潟4/16+74/20+6
富山4/12+74/16+6
金沢4/10+64/13+3
福井4/10+74/13+4
近畿
官署開花日平年差満開日平年差
彦根4/8+64/12+3
京都4/3+64/9+4
舞鶴4/9+64/12+4
大阪4/2+54/9+4
神戸4/2+54/9+4
奈良4/3+54/9+4
和歌山3/30+44/40
中国・四国
官署開花日平年差満開日平年差
岡山4/3+54/9+3
広島4/2+64/9+5
松江4/6+64/10+2
鳥取4/3+34/10+3
高松4/2+54/6+1
徳島4/1+44/50
松山3/30+54/40
高知3/21-13/27-3
下関3/30+34/6+1
九州・沖縄
官署開花日平年差満開日平年差
福岡3/27+44/10
大分3/27+34/30
長崎3/26+24/2-1
佐賀3/28+44/30
熊本3/25+24/2+1
宮崎3/2404/3+1
鹿児島3/2604/5+1
名瀬+1/20+11/300
那覇+1/22+42/6+2
南大東島+1/17-32/1-1
宮古島+1/18+21/30-10
石垣島+12/24-232/9+4
2012年のサクラの開花・満開日
・官署名に付した「*」はエゾヤマザクラ、「+」はヒカンザクラ、印のないものはソメイヨシノを観測対象としている。
・平年差に付した「-」は平年より早い、「+」は平年より遅いことを示す。
さくらの開花・満開日の平年差階級区分
さくらの開花を平年値(1981年〜2010年の30年間の累年平均値)と比べる場合、「平年並」は平年値との差が2日以内、「早い」とは平年値より3日以上早く、「かなり早い」は7日以上早いことを示す。
階級平年との比較
かなり早い7日以上早い
早い平年値より3日以上早い
平年並み平年値との差が2日以内
遅い平年値より3日以上遅い
かなり遅い7日以上遅い

さくらは夏頃に翌春咲く花の元となる花芽を形成し、秋に休眠(成長が止まる)に入る。休眠に入った花芽は、冬の低温に一定期間さらされると休眠から目覚め(休眠打破)、気温の上昇と共に成長を始め開花する。
休眠打破が不十分な場合は、開花が遅れたり不揃いになったりすることがある。


【2012年のさくら解説】 〜 全国歴代初、旭川で開花と満開が同日に 〜

片山由紀子(ウェザーマップ・気象予報士)  資料提供:気象庁

◆開花

2012年のさくら前線(沖縄・奄美を除く)は3月21日、高知からスタートした。高知が全国トップ(沖縄・奄美を除く)となるのは2010年以来、2年ぶりのこと。

2012年の冬は冬型の気圧配置が強く、寒気の影響を頻繁に受けた。そのため、北日本では最近10年間で最も寒く、東日本と西日本では2006年以来、6年ぶりの寒冬となった。 また、平均気温が冬を通して平年を下回ったのは北日本で11年ぶり、東日本と西日本では26年ぶりであった。

日本海側の降雪は北陸で平年の115%、山陰や近畿北部で平年の113%に達し、「平成18年豪雪」以来の大雪となった。


地域平均気温の平年差(℃)と階級
北日本東日本西日本沖縄・奄美
2012年冬-1.3(-)-0.9(-)-0.7(-)0.0(0)
3月-0.6(-)-0.1(0)0.0(0)+0.7(+)
4月-0.3(-)-0.1(0)+0.4(+)+0.3(+)
階級:(-)平年より低い、(0)平年並み、(+)平年より高い

さくらの開花は高知と静岡で平年より早く開花したが、そのほかの各地は軒並み、平年より一週間程度遅くなり、多くの地域でお花見は4月上旬から中旬となった。 東京では3月31日、平年より5日遅く開花した。開花が3月末まで遅くなったのは2005年以来7年ぶりのこと。


2011年は東日本大震災と福島第一原発事故による計画停電の影響で、各地のさくらの名所では、さくら祭りの開催や夜桜を取りやめる所が相次いだが、2012年はお花見やさくら祭りを通して被災地を応援する機運が盛り上がり、各地のさくらの名所では例年通り、花見客でにぎわった。


◆満開

3月27日、全国のトップを切って高知で満開となった。九州や四国では暖かい日が多くなった影響で、平年並みの満開日となったが、中国地方から東北地方にかけては低温が長引いたため、平年より3日から一週間程度遅くなった。

また、東京では平年より3日遅い4月6日に満開となり、昨年に続いて満開のさくらの下での入学式となった。


◆全国歴代初、旭川で開花と満開が同日に

北海道では5月1日、札幌で開花し、17日に道内最後となる釧路で開花した。サクラ前線の北上は北海道に達したころから、平年並みから早くなり、網走では平年より8日早い開花となった。

旭川では5月2日に開花し、その日の午後には満開となった。開花と満開が同日になったのは1953年の観測開始以来、全国で初めてのこと。

旭川では開花の前日に今年初めての夏日(27.1℃)となり、開花した日も午後3時過ぎには気温が25.1℃まで上がった。気象台の職員が2日午前9時半ごろ、開花を確認し、午後3時20分ごろ、再び、さくらを見にいったところ、満開になっていたという。なお、旭川で観測しているさくらの種類はエゾヤマザクラである。



◆弘前さくらまつり

全国最大規模のさくら祭りとして有名な「弘前さくらまつり」。例年、さくらまつり期間中は200万人を超える花見客、観光客でにぎわう。

弘前市によると、弘前公園に最初に桜が植えられたのは、正徳5 年(1715)京都から取り寄せた「山桜」が始まりとされている。現在ではソメイヨシノを中心に、シダレ桜や八重桜などの桜が園内を埋め尽くし、たびたび観光ポスターやカレンダーに取り上げられている。

弘前さくらまつりは、大正7 年に第1 回「観桜会」として開催されてから、以降年中行事となり、昭和36年に「弘前さくらまつり」に改称され現在に至っている。さくらまつりには青森県内はもちろんのこと、首都圏の遠方からの観光客も多く、地元経済の基盤をなしている一大イベントである。

しかし、天候に左右されやすく(桜の早咲き・遅咲き)、2011昨年は東日本大震災と福島第一原発事故による計画停電で観光客が大幅に落ち込んだ。

2012年はさくら祭りを通して被災地を応援する機運が盛り上がり、期間中の人出は212万人と改善したが、全般を通じて好調であった、震災前の水準には回復しなかった。

弘前商工会議所のまとめによると、今年の弘前さくらまつりは、

 1. 期間中の休日が少なかった

 2. さくらの見ごろが例年よりも遅くなるとの予想を受けて、期間前半の出足が鈍かった

 3. 期間後半はさくらが見ごろとなったが、天候に恵まれなかった

そのため、主に近隣からの花見客が伸び悩んだ。一方、首都圏など遠方からの観光客は震災前の水準まで回復し、宿泊施設の利用も伸びた。


    2012年弘前さくらまつり 期間中の天気、最高気温、人出
さくらまつり期間天気最高気温(℃)人出(万人)
4月23日(月)16.52
24日(火)くもり15.93
25日(水)晴れ20.05
26日(木)くもり23.98
27日(金)15.78
28日(土)晴れ21.812
29日(日)晴れ25.319
30日(月)晴れ25.221
5月1日(火)晴れ26.717
2日(水)晴れ25.225
3日(木)18.519
4日(金)14.619
5日(土)15.632
6日(日)16.615
7日(月)くもり19.47