2024
2025年1月14日更新
【2024年のさくらの開花・満開日】
2024年のさくらは、関東から西では平年より遅くなった地点が多くなりました。3月の気温の上がりが鈍かったため、予想より遅くなりました。北日本では平年より早くなりました。
2024年の冬は、寒気が流れ込む回数が少なく長続きもしない、暖冬となりました。このため、休眠打破は弱かったとみられます。
2月はかなり暖かい日が多くなりましたが、3月のはじめにかけて長めの寒の戻りがありました。3月中旬は暖かくなりましたが予想ほどではなかったため、花芽の成長が遅れたとみられます。
4月は気温がかなり高めで推移していて、北海道は平年より大幅に早くなりました。

→ 前年の開花・満開日は 「さくら2023」


さくらの開花・満開日の観測はソメイヨシノを観測対象とし、各気象台が定めた標本木で行っている。 ソメイヨシノが分布していない北海道地方では一部を除きエゾヤマザクラを対象としている。 「開花」とは花が数輪以上開いた状態のことで、「満開」とは約80%の花が開花した状態のことである。


北海道
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
札幌4/18-134/24-12
稚内*5/1-125/4-12
旭川*4/24-104/26-11
網走*4/28-124/30-13
釧路*5/3-135/5-14
帯広*4/23-94/26-9
室蘭4/26-84/28-11
函館4/18-104/23-9
東北
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
青森4/15-74/18-8
秋田4/10-74/14-8
盛岡4/12-64/14-10
仙台4/2-64/9-4
山形4/7-64/10-8
福島4/3-44/7-4
関東・甲信
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
水戸3/31+14/8+2
宇都宮3/31+14/11+5
前橋3/31+24/8+3
熊谷3/31+44/8+5
東京3/29+54/4+4
銚子4/1+24/7+1
横浜4/1+74/7+6
長野4/8-34/13-3
甲府3/29+44/5+3
北陸・東海
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
静岡3/30+64/8+6
名古屋3/28+44/7+5
岐阜3/27+24/4+2
3/30+14/2-1
新潟4/6-24/11-2
富山4/2-14/10+2
金沢4/1-24/80
福井4/104/6-1
近畿
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
彦根4/2+14/9+1
京都3/29+34/5+1
大阪3/30+34/6+2
神戸4/1+54/7+2
奈良3/31+34/8+4
和歌山3/30+64/30
中国・四国
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
岡山3/30+24/5+1
広島3/2504/5+2
松江3/28-14/3-2
鳥取3/2904/6+1
高松3/29+24/5+1
徳島4/1+44/6+2
松山3/27+34/5+2
高知3/23+13/31+1
下関3/29+34/5+1
九州・沖縄
官署 開花日 平年差 満開日 平年差
福岡3/27+54/2+2
大分3/30+64/5+1
長崎3/26+34/20
佐賀3/29+54/20
熊本3/26+44/2+1
宮崎3/25+24/3+1
鹿児島3/29+34/12+7
名瀬+1/17-32/20
那覇+1/13-32/5+1
南大東島+2/16+27-----
宮古島+1/5-122/2-7
石垣島+1/22+4-----
2024年のサクラの開花・満開日
・官署名に付した「*」はエゾヤマザクラ、「+」はヒカンザクラ、印のないものはソメイヨシノを観測対象としている。
・平年差に付した「-」は平年より早い、「+」は平年より遅いことを示す。
さくらの開花・満開日の平年差階級区分
さくらの開花を平年値(1991年〜2020年の30年間の累年平均値)と比べる場合、「平年並」は平年値との差が2日以内、「早い」とは平年値より3日以上早く、「かなり早い」は7日以上早いことを示す。
階級 平年との比較
かなり早い 7日以上早い
早い 平年値より3日以上早い
平年並み 平年値との差が2日以内
遅い 平年値より3日以上遅い
かなり遅い 7日以上遅い

さくらは夏頃に翌春咲く花の元となる花芽を形成し、秋に休眠(成長が止まる)に入る。休眠に入った花芽は、冬の低温に一定期間さらされると休眠から目覚め(休眠打破)、気温の上昇と共に成長を始め開花する。
休眠打破が不十分な場合は、開花が遅れたり不揃いになったりすることがある。

【さくら2024】記録的な暖冬の影響も、東京は12年ぶりに遅い開花片山由紀子 (ウェザーマップ・気象予報士)

2024年春(3月~5月)地域平均平年差(比)
地域気温降水量日照時間
北日本1.5℃(かなり高い)94%(少ない)109%(多い)
東日本1.1℃(高い)140%(かなり多い)98%(平年並み)
西日本1.0℃(かなり高い)140%(かなり多い)96%(少ない)
沖縄・奄美1.2℃(かなり高い)155%(かなり多い)100%(平年並み)
※2024年春(3月~5月)の平均気温、降水量、日照時間を平年と比べたもの。

2024年春(3月~5月)は全国的に気温が平年を大幅に上回り、沖縄・奄美は1946年以降で2番目に、北日本は3番目に高くなるなど記録的な暖春となりました。
また、降水量も沖縄から東日本でかなり多くなりました。東日本は統計史上2番目、西日本は3番目の記録となり、走り梅雨が顕著であったと言えそうです。

開花

3月23日、全国のトップを切って高知でさくらが開花しました。平年より1日遅く、昨年よりも6日遅い開花です。そして、全国トップ開花が高知となったのは2018年以来6年ぶりのことです。

記録的な暖冬の影響が強く、西・東日本では昨年と比べて一週間から十日程度遅くなりました。平年と比べても5日前後遅く、さくらシーズンの始まりは久しぶりに遅くなった印象です。

一方で、北日本ではさくらの開花が早まりました。仙台では平年より6日早い4月2日に開花、福島よりも早くなったのは2017年以来7年ぶりで、地元では話題になったそうです。その後も、さくら前線の北上スピードは速く、津軽海峡を瞬く間に越えて、あっという間に北海道に到達しました。札幌では平年より13日早い4月18日に開花したのです。東京と札幌の差はわずか20日間という異例の早さでした。

満開

開花が遅れた影響で、満開も平年並みか、やや遅くなりました。西・東日本では4月10日前後が見ごろとなり、入学式にさくらが満開となった所も多くなりました。

一方で、北日本では平年よりもかなり早い満開となり、さくら祭りの開催を前倒しするなどの対応に追われました。例年、ゴールデンウイークに国内の観光客を当て込んでいますが、今年は海外からの旅行客でかなりの混雑となったようです。コロナの収束や超円安のため、海外からの旅行客は過去最高を記録し、今年はお花見の様子が様変わりしました。

東京のさくら開花 2012年以来の遅さに

この春はさくらの開花を今か今かと待つ人が多くなりました。さくら祭りを始めても、肝心のさくらがなかなか開花しなかったからです。東京では3月29日に開花しましたが、平年と比べて5日遅くなったものの、記録的な遅さではありませんでした。

でも、多くの人が遅く感じた理由のひとつに、最近の超早咲きがあります。2020年、2021年、2023年はいずれも過去最も早い3月14日に開花しました。

この春も当初は3月17日に開花すると見られていましたが、3月になって気温の低い日が多くなったこと、記録的な暖冬の影響で休眠打破が弱かったため、つぼみの生長が予想以上に遅くなったことで、開花予想日が先送りされたこともあり、待たされた感じが強まったようです。結果的に、東京のさくらは2012年以来の遅い開花となりました。

靖国神社の標本木の周りには開花発表を待つ人だかりができた
(2024年3月29日、ウェザーマップ撮影※写真利用申請済み)

満開にならないさくら

気象庁は2021年に生物季節観測指針を改定し、満開の定義も2021年(令和3年)に「同時に約80%以上咲いている状態である必要はない」と変更されました。つまり、全体の約80%以上が咲いた状態のなかに、散ってしまった花も含めるという意味です。

最近は記録的な暖冬の影響で、さくらが咲きそろわない年が目立つようになりました。2016年には大分と徳島で、散ってしまった花も含めて満開としたことがあります。

さらに、沖縄では満開とならない年が増えているのです。今年は石垣島と南大東島で、満開発表はありませんでした。気象台は欠測としていますが、実際はどうだったのでしょう。南大東島地方気象台によると、2月16日に標本木のヒカンザクラが開花したが、全体の3割で、つぼみが生長しませんでした。開花の最晩記録は2016年3月1日、今年は最晩記録から一か月たっても、満開とならなかったので、4月1日に、現象なしと判断したそうです。

また、石垣島では満開にならなかった年は2年連続です。そのほかは2020年、1975年にもあります。

鹿児島は満開まで2週間も

この春は東京と鹿児島は3月29日、同じ日に開花しました。しかし、その後の経過は大きく違ったのです。東京は4月4日に満開となった一方で、鹿児島は12日に満開となりました。開花から満開までの日数を比べると、東京は6日でしたが、鹿児島は満開まで2週間もかかりました。

なぜ、同時に開花した2地点で、これほどの違いが出てしまったのでしょうか。その間の平均気温を調べてみると、鹿児島は東京と比べ2.4度高い、18.3度でした。開花した後に、強い寒の戻りがあったわけではないようです。

鹿児島地方気象台によると、散った花を含めて満開としたとのこと。標本木はすでに葉が出ていて、咲いている花もまばらな状態です。また、鹿児島市内では満開を過ぎて、散ったさくらも多く、いまさら満開とは、と実感が伴わないそうです。

【鹿児島】開花から満開までの所要日数ランキング(多い順)
1位18日(2020年)
2位15日(2019年)
3位15日(2008年)
4位14日(2024年)
5位14日(2010年)