片山由紀子(ウェザーマップ・気象予報士) 資料提供:気象庁
◆開花
3月13日、全国(沖縄・奄美を除く)のトップを切って、福岡と宮崎でさくらが開花した。さくら前線が九州からスタートしたのは2009年以来、4年ぶりのこと。
福岡は平年より10日早く、宮崎は平年より11日早い開花で、いずれも観測史上最も早くなった。また、3月13日の開花は日本歴代の記録としても、2番目に早い。
さくらの開花 日本歴代の記録(1953年~2013年) | ||||
順位 | 月日 | 年 | 観測地点 | |
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1位 | 3月10日 | 2010 | 高知 | |
2位 | 3月13日 | 2013 | 福岡 宮崎 | |
2009 | 福岡 | |||
3位 | 3月14日 | 2013 | 大分 | |
2010 | 福岡 松山 | |||
1990 | 福岡 高知 | |||
注意:2013年現在で、さくらの観測が行われている地点を対象とした |
2013年の冬は、沖縄・奄美を除く全国で寒冬となった。しかし、3月は西・東日本で平年を大幅に上回る暖かさとなり、さくらが記録的に早く開花する結果となった。3月の平均気温は西日本で平年より1.6℃高く、東日本で平年より2.1℃高い。いずれも1946年以降、3月としては2002年に次ぐ高温である。
東京は3月10日、最高気温が25.3℃を記録し、観測史上最も早い夏日となった。急な暖かさの影響で、東京では3月16日、平年より10日早く開花した。2002年に並ぶ、観測史上最も早い記録である。
そのほか、九州から北陸地方にかけての広い範囲で、平年より1週間から10日程度早い開花となった。
一方、4月は一転、気温が低くなり、さくら前線の北上にブレーキがかかった。青森では平年より5日遅い、4月29日に開花、函館は大型連休が終わった5月8日に開花した。稚内、旭川、網走では観測史上最も遅く、札幌でも1980年以来、33年ぶりの遅い開花となった。
また、帯広では大型連休最終日(6日)に湿った雪が降り、積雪3センチを記録したが、その4日後にさくらが開花する珍事があった。
◆満開
3月22日、全国のトップを切って、福岡や東京など6か所で満開となった。開花以降も気温の高い状態が続いたため、九州から北陸地方にかけての広い範囲で、平年より1週間から10日程度早くなった。東京では平年より12日早い、3月22日に満開を迎え、さくら祭りの関係者を慌てさせた。
一方、東北北部から北海道にかけては気温が低くなった影響で、満開は平年より8日から17日ほど遅くなった。旭川と網走は観測史上最も遅い満開である。また、全国で最後に満開となったのは稚内で、5月28日である。5月10日には沖縄地方が梅雨入りしており、日本列島では春と初夏が同居した格好となった。
◆さくらシーズン期間は最長74日間
2013年のさくらシーズンは3月22日(福岡、宮崎)に始まり、5月26日(稚内)で終わった。シーズン期間は74日間と1953年以降では最も長くなった。これまでの記録は2010年の73日間である。
さくらシーズンが最長となった主な理由は、3月の西・東日本の高温と4月・5月の北日本の低温である。冬は全国的に寒く、西日本や東日本ではさくらの開花に必要な休眠打破がスムーズに行われ、その後の暖かさで、記録的に早い開花となった。一方で、北日本では気温の低い状態が5月まで続き、開花が遅くなった。春の天候の乱高下がさくらシーズンが長くなった原因といえよう。
◆東京のさくら開花 週末が多い
過去30年間、東京でさくらが開花した日を曜日別に調べてみた。

最も多いのは土曜日、次いで木曜日である。この2曜日で全体の半数を占める。一方、日曜日は1日だけである。東京では1966年(昭和41年)以降、さくらの開花、満開の観測を靖国神社境内にある標本木で行っている。都心部では平日の経済活動により、気温が週末にかけて高くなる傾向がみられ、さくらに影響している可能性がある。
実際、さくらが開花する日は晴れて、最高気温は16℃くらいである。過去30年で、雨の日に開花したのは4回(2012、2004、1998、1987)だけである。