Ⅰ. 8年ぶりに上陸なし
Ⅱ. 台風13号、与那国島で日本歴代4位の豪雨
Ⅲ. 発生数が少ない
Ⅳ. 発生場所は「西多東少」
年 | 発生数 | 日本への 接近数 |
2008 | 22 | 9 |
2000 | 23 | 15 |
1986 | 29 | 12 |
1984 | 27 | 9 |
平年値 | 26.7 | 10.8 |
2008年は、台風が日本にひとつも上陸しない異例の年となった。台風の統計は1951年から行われているが、台風が上陸しなかった年は2008年を含めてわずか4年(1984年、1986年、2000年、2008年)しかない。
日本に接近した台風(台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300km以内に入った場合)は、平年とほぼ同じ9個であった。しかし、大雨や暴風などの影響を及ぼした台風は2個と、2008年は台風の影響が最小限だったことが分かる。
台湾に上陸した台風13号は動きが遅く、与那国島では記録的な大雨に見舞われた。13日の日降水量は765.0ミリに達し、日本歴代4位の記録となった。また、最大瞬間風速は62.8m/s(東北東)、2008年全国一番の暴風だった。
その後、台風13号は東シナ海を北上し、18日夕方には種子島付近を通過、20日朝にかけて太平洋沿岸を東北東へ進んだ。本州に停滞していた秋雨前線の活動が活発となり、三重県尾鷲市では24時間雨量(19日)が759.0ミリに達する記録的な豪雨となった。ちなみに、東京の総雨量は44.5ミリであった。
2008年シーズン最大級に発達した台風15号。中心気圧は915hPa、最大風速は55メートルの“猛烈な強さ”まで発達した。与那国島では先日の台風13号に続いて大荒れの天気となり、最大瞬間風速は49.2m/s(南東)、日雨量は159.5ミリに達した。
2008年の台風の発生数は22個と平年の約8割にとどまった。発生数が平年を下回るのは4年連続のことで、経年変化をみると、1990年代後半から発生数の減少傾向が見られる。
台風発生数 経年変化グラフ
上図に台風の発生場所を示した。台風が多く発生するのは北緯10度~20度の海域である。領域別の発生頻度を詳しくみるため、下記の3つの領域に分けて考える。
・南シナ海:東経100度以上120度未満(緑)
・フィリピンの東:東経120度以上140度未満(青)
・マリアナ諸島:東経140度以上160度未満(赤)
発生数は東経140度を境に、西側で多く東側で少ないことが明瞭に分かる。特に、マリアナ諸島周辺の発生数はわずか1個と平均(5.0個)を大幅に下回った。一方、南シナ海では6個発生し、平均(3.4個)の約1.7倍となった。フィリピンの東では平均(8.0個)を下回る6個が発生した。
領域別の台風発生数頻度は1951年~2004年の年平均データを用いた。
◆参考文献
宮北吉美(2005):台風に関する海の状況、ITCZ、昨年のコース等について.日本気象学会関西支部第27回夏季大学,4