この冬は全国的に暖冬となった。ただ、冬の期間を通して気温が高かったわけではない。各月を詳しく見ると、暖秋傾向は12月上旬まで続き、半ばになってようやく寒波の第一陣がやってきた。年末年始は強い冬型の気圧配置となり、交通機関にも影響があった。
1月になって寒気が西回りに南下し、中旬をピークに寒さが本格化したが、長くは続かず、一年で最も寒い頃とされる大寒には5月の陽気となった。
そして、2月は立春寒波、その後も太平洋側を中心に天気がぐずつき、中旬までは東日本から北日本で平年を下回る寒さとなった。ただ、2月下旬は状況が一変し、全国的に4月から5月の気温となり、2月の最高気温を更新する地点が相次いだ。12月から2月までの3か月間を平均すると、「暖冬」という結果となったが、実際は、寒暖の差が非常に大きい冬であったといえるだろう。
平均気温平年差 | 階 級 | |
北日本 | +0.6℃ | 高い |
東日本 | +0.9℃ | 高い |
西日本 | +1.0℃ | 高い |
沖縄・奄美 | +0.6℃ | 高い |
2009年12月 | 2010年1月 | 2010年2月 | 冬(Total) | |
平均気温 | 9.0℃ (+0.6℃) |
7.0℃ (+1.2℃) |
6.5℃ (+0.4℃) |
7.5℃ (+0.8℃) |
降水量 | 82.5mm (208%) |
9.0mm ( 19%) |
115.0mm (191%) |
206.5mm (138%) |
日照時間 | 181.0h (106%) |
221.9h (123%) |
118.3h ( 73%) |
521.2h (102%) |
12月から2月まで、各月の平年気温は平年を上回ったが、気温の変化が大きかった。特に、2月は中旬まで、平年を1度以上下回る24年ぶりの低温となった。
降水量は12月と2月に平年の約2倍の多雨となった一方で、1月は平年の20%以下となるなど、降水量も変化が大きかった。
2月1日は東京・大手町で2年ぶりの積雪となった。昼過ぎから降り出した雨は雨足を強めたが、18時25分からみぞれに変わった。21時には雪となり、積雪1センチを観測した。東京・大手町の積雪は2008年2月3日(3センチ)以来のこと。また、関東各地の積雪は、秩父6センチ、前橋3センチ、熊谷2センチ、横浜・水戸・宇都宮1センチなど。
<気象庁HPより>
東京で積雪となった日(2月1日)は気象レーダーに明瞭なブライトバンドが見られた。名古屋、牧の原(静岡)、東京(柏)にある気象レーダーに対応して、それぞれ円形のブライトバンドが出現した。円の大きさは、牧の原が一番大きく、次いで名古屋、東京となり、これは融解層の高さに関係していると思われる。つまり、気象レーダサイトから遠ざかるほど、レーダービームは上空を通過するため、円が大きい場合は雪から雨に変わる融解層が高く、円が小さい場合は、融解層が低いと推測できる。なお、名古屋レーダーに見られる明瞭なブライトバンドはとても珍しいといえそう。
2月の東京の雪日数は10日を数え、1984年以来26年ぶりに多くなった。これは、関東の南海上を頻繁に低気圧が通過したことに加え、北から寒気が流れ込んだため、関東では気温の低い状態が続いた。
東京マラソンが行われた28日にも、8時50分から11時40分までみぞれとなった。
順位 | 年 | 雪日数 |
1位 | 1931年 | 12日 |
2位 | 1952年,1888年,1883年 | 11日 |
5位 | 2010年,1984年 | 10日 |
南岸低気圧の影響で、四国や紀伊半島で師走の大雨となった。徳島・日和佐では7時20分までの1時間に66ミリの非常に強い雨が降るなど、12月としては記録的な大雨となった。
強い冬型の気圧配置となり、山陰から北の日本海側では雪の所が多くなった。新潟県の苗場スキー場ではこの冬初めて、一面の銀世界となった。最高気温は札幌で-2.9℃、青森で-0.5℃など、東北北部と北海道は日中でも氷点下の真冬日。16日には鹿児島県の桜島で初冠雪が観測された。
冬型の気圧配置が強まり、関東は冬晴れの一日となった。東京の最小湿度は12月としては記録的な12%まで低下し、東京地方には初の乾燥注意報がだされた。
東京では10時過ぎから弱い雨(気温4~5℃)が降り出し、12時25分ごろにはみぞれとなった。東京の初雪は平年より10日遅く、昨年より3日遅い。
東京は快晴の一日となって、朝の冷え込みが厳しい。最低気温は-0.3℃(5時47分)を記録し、2008年2月4日以来2年ぶりに冬日となった。
天気図は春の形となり、全国的に4月の気温となった。東京は南西の風が強く、気温が急上昇。最高気温は17.3℃と大寒の日としては21年ぶりの暖かさとなった。
強い冬型の気圧配置となり、網走では流氷初日となった。平年より2日遅く、昨年より12日早い。
里雪型の気圧配置となり、日本海側の広い範囲で大雪となった。特に、北陸の平野部ではまとまった雪となり、新潟では積雪が81センチに達した。積雪が80センチを超えたのは1984年(59豪雪)以来26年ぶりのこと。
北海道上空では記録的な寒気が居座り(稚内で-49.7℃)、新潟から北では猛吹雪となった。新潟空港は終日、閉鎖となった。札幌の最低気温は4日連続で-10℃台を記録し、9年ぶりの厳しい寒さ。
関東沿岸部では昨夜から南風が強く、横浜では9時に16.7℃を記録した。東京も12時頃から気温が上がり始め、最高気温は21.0℃と2月上旬としては17年ぶりの暖かさとなった。また、群馬・上里見では夏日手前の24.1℃まで上がった。
九州北部、中国、四国、関東で春一番。関東の春一番は17時30分に発表された。
12月下旬からヨーロッパとアメリカ東部では厳しい寒さに見舞われた。クリスマス休暇直前の21日には、ヨーロッパ各地で大雪により交通機関がマヒ状態となった。英仏海峡トンネル内で高速鉄道のユーロスターが相次いで立ち往生した。また、アメリカ・ワシントンやニューヨークの空港でも、航空機の遅れや欠航が相次いだ。
この大雪と厳しい寒波により、ヨーロッパでは計100人以上が死亡したと報じられ、エネルギー価格も上昇した。ニューヨークの原油先物価格は1年3ヶ月ぶりに1バーレル80ドル台まで高騰した。
年が明けた1月3日から4日にかけてはアジアでも豪雪となった。 北京では積雪が10センチから20センチに達し、記録的な大雪となった。また、韓国のソウルでは積雪が28.5センチを記録し、41年ぶりに最大記録を更新した。ソウル市内ではスリップし立ち往生する車が相次ぎ、金浦空港でもほとんどの航空機が欠航するなど、交通機関がマヒ状態となった。